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    みなさんいかがお過ごしでしょうか。秋口に入り、肌寒さも復活してきましたね。
    さて今回は、暑かった今年の夏に私が読んだ中の1冊を紹介します。

    ギンカムロ (集英社文庫)
    ギンカムロ (集英社文庫)
    • 出版日 - 2015-06-25
    • 出版社 - 集英社
    • 著者 - 美奈川 護
    • 形式 - 文庫
    • 価格 - ¥ 648


    この本を手に取った理由はいたって簡単。「表紙がとてもきれいだったから」「ナツイチ(集英社文庫の夏のフェア)でおまけでもらえる栞が欲しかったから」です(笑)。本屋さんでなんとなーくいろんな本を眺めてこそ生まれる出会い、って感じですね。
    そんな軽い気持ちで購入したこの本ですが、とても面白かったので一気に読んでしまいました。


    テーマは何といっても花火。THE 夏の本ですね。
    東京で暮らす主人公・昇一が帰郷することから物語は始まります。その先で出会った花火職人の修行中の女性・風間絢、そして個性あふれる修行中の仲間たち。幼い頃に実家の花火工場での事故で両親を失っていた昇一は、実家によりつこうとしていませんでした。しかし絢の熱意に押されつつ、そんな仲間たちと一緒に家業復活を目指し、奮闘します。

    この本で注目したいのは何といっても花火の描写。解説もしっかり書いてあるので具体的なイメージが湧きやすいというのもありますが、それだけではないんです。
    花火の色鮮やかさ、そしてリアルな音の表現。花火を見るとひとことで言っても、その中には花火職人特有の『花火をあげる理由』があり、そういった"視点"が違うだけでさまざまな見え方がある。そんな表も裏も含めたさまざまな"花火"の世界を、読者に見させてくれるのです。花火は見る人によって見え方が地が違う、そんなことを教えてくれます。

    また、花火以外にも注目したいのは、さまざまな人間模様。
    昇一の過去から始まり、家族内での確執、花火工場にやってくるお客さんとのかかわり。そして花火職人同士のライバル関係、はたまた地域特有の身内関係など、物語後半へ読み進めていくうちにその輪はどんどん広まっていきます。だんだんと深くなるストーリーはいい味を出していきます。
    花火工場の仲間たちはどの人も現代っ子で、花火職人の古風なイメージとは程遠いですが、そんなキャラクターたちがまたいい働きをしてくれるのです。


    進化していく花火の世界、そして花火に関わる人々。
    現代の物語だからこそ、リアリティがあり、とても読みやすい一冊でした。



    来年の夏はどんな本を読もうかなぁと、本棚に積まれた未読の本達を横目に考えてしまいました(笑)。
    まずはもっと読書習慣をつけなくては...と自分に戒めを。

    みなさんはこの夏、どんな本を読みましたか?
    2015/09/14(月) 22:48 読書帖 記事URL COM(0)
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